イケメン貴公子のとろけるキス

ルカは、滝本くんを私の彼氏だと勘違いしているみたいだ。

思わずルカを仰ぎ見る。
すると、見せたこともないような寂し気な目をしたルカがそこにいた。

どうしてそんな顔をするの?
心が波立ち騒いで、落ち着かなくなる。
動揺に目をあちこちへと彷徨わせた。


「そうなんだね」


ルカの瞳がゆらゆらと揺れていた。

だからどうして。
ルカには美穂さんがいるじゃない。
ズルいよ、ルカは。
戸惑いに震える心の中で、反発が一歩リードした。


「うん、そうなの」


これでおあいこだ。

ルカは、美穂さんという彼女がいながら私を抱いた。
私は、滝本くんという彼氏がいながらルカに抱かれた。

あの夜のことはなかったことにしたくて、お互いにぎこちない態度を取っていた。
それでいいじゃないか。
よくできたシナリオを完成させておいて、心の中はどしゃぶりだった。

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