恋の処方箋SOS
痛いのかなんなのかもわからず私はどこか諦めていた
お母さんごめんね
しばらく真っ暗な闇が続いていて朦朧とした意識の中で龍太郎を見た気がした
「死ぬなよ」
そう言われた気がしたのだ
それからは何がどうなったのかはわからないが気づいたら龍太郎が傍で眠っていた
「龍太郎?ねぇ起きて風邪ひいちゃうよ?」
私は腕に刺さる輸血管が龍太郎のほうにもあるのを見て慌てた
「龍太郎、寝てるだけだよね?龍太郎?」
「気づいたか?簡易治療しかできなかったからな早く戻らねぇとな」
「ごめんなさい」
「なにが?とりあえず俺の血液半分以上おまえにやったから」
菅を抜きながらゆっくり止血してくれた
その手つきは本当に医者なんだなと改めて思う
「龍太郎」
「おまえは動くな」
龍太郎は立ち上がると私を抱きかかえ歩きだす
「私、重いよ?」
「動くなバカこっちだっておまえに血抜かれてふらつくんだから」
まわしていた腕を少し緩めながら私は車の後部座席に寝かせられた
「龍太郎?」
龍太郎だって運転できる状態じゃないよねたぶん
「龍太郎もういいよ無理しなくて」
運転席からタバコのにおいがする
「はあ?なにいってんだおまえ?医者が患者みすててどうすんだよ?」
「でも」
ぐしゃりとタバコの箱を潰す音がして低く言われた
「黙れ」
その後は車のエンジン音にかきけされてしまった
「龍太郎」
またうるさいと言われてしまうだろうか
「おまえ不安なのはわかるけどな何度も呼ぶなよ」
「だって本当にもうほっといてほしいの」
龍太郎はなにも言わないから私は更に追撃してしまった
「私と龍太郎はなんにも関係ないんだよ?」
「おまえご都合主義もいいかげんにしろよ」
これじゃあ龍太郎を傷つけてるだけなのはわかってるけどどうしていいかわからなかった
いつの間にか車はいつもの総合病院に到着していて龍太郎がなにか別の医師と話している
車から抱き抱えられて降ろされたのはストレッチャーの上
「とりあえず色々と検査があるからな」
「龍太郎は?」
「あとでな」
龍太郎はそれだけ言うと車のほうに行ってしまった
それからは検査続きで病室に戻れたのは午後だった
看護師さんがにこにこしながら色々説明してくれた
それが終わると内海先生が入ってきて私はベッドの名前を確認した
「どうした?」
「いえ別に、龍太郎じゃない比嘉先生は?」
「喧嘩でもしたのか?」
「えっ?」
「比嘉たっての指名だった」
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