オフィスの野獣と巻き込まれOL
この店には70歳を過ぎて、まだ現役の淑子ママがいる。

すんごく綺麗なママだ。
70歳は軽く過ぎてるけど。

せっかく来たんだから、少しでもいいから顔を出しておきたい。

「クラブ淑子」のプレートのかかった真っ黒な重厚な扉を開けると、中は落ち着いた白を基調にした内装が現れた。

「ずいぶん、高級な店だな」
店に足を踏み入れた途端、キモがきょろきょろしている。

「でしょう?すごく素敵なのよ。
実はね、私ここで、働いてたの」

「へえ。一流店じゃん」
キモは、感心したようにため息をもらした。

このため息は、私にホステスが務まったのかという驚きなのか、

高級店で働けたほど昔は綺麗だったのかという驚きと、どっちなのか測りかねた。

「変わってないな、お店」

私は久しぶりに訪れた店の様子を細かく確認して、記憶と照らし合わせる。

「クラブ淑子」には、豪華なシャンデリアも、調度品もないけれど。

お店に来た人がゆったりとしたくつろげる空間になっている。

「あら、珍しい人が来たわね」

淑子ママがすぐに気が付いて、近付いてきた。

年齢を重ねているけれど、ママは今でも大輪のバラのように存在感がある。

ホント綺麗。70過ぎてるけど。
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