オフィスの野獣と巻き込まれOL
「元気そうね」
ポンと淑子ママに肩を叩かれた。

「はい。
近くに来たので、寄ってみました」

こちらは?
横にいたキモの事を尋ねられたから、会社の同僚ですと答えた。

「そう。よくいらして下さいました」
ママがキモに向かって丁寧に挨拶する。

キモはどういう訳か、よそよそしくママの挨拶に適当に応じたあと、
私の後ろに目立たないように立っていた。

さっきまで、尊大と言ってもいいくらいの大きい態度取ってたのに。

今回ばかりは、私の後ろにこっそりと隠れるようにしている。

「一人で来るのも、勇気がいったからついてきてもらったの」

「気にしないで、遊びに来ればいのに」

淑子ママは屈託なく笑って言うが、この席について水割りを飲むだけで相当なものである。

「美帆ちゃんなら、特別よ。自分の娘から、お金巻き上げようなんて思わないもの」

「それは、有難いですが。そうされると、足が向きにくくなります」

私は、小さくなって答える。

「そうよね。でも、そんなこと気にしないで会いにいらっしゃい。
顔見せるだけでいいのよ。どうせ、道楽だけでやってるんだから、ね」

こんなところも好きだ。

一人暮らしをするようになってからは、この人が私の親のようなものだった。

人生のいろんなことを、この人から学んだ。
< 102 / 349 >

この作品をシェア

pagetop