オフィスの野獣と巻き込まれOL
淑子ママが、ちらっとキモの方に目をやる。

ママに菩薩のように微笑まれても、キモはうつむいている。

ママが話しかけてるのに、無視してテーブルの端を見つめている。
はっきり言って、感じが悪い。

夜の女を下に見ているのだろうか。

ん~
でも、何か変だ。

彼こういう店、好きじゃなかったのか?

いや、でも。

さっきの店に行ったときは、普通に嬉しそうだったけど。

「堀川さんは?今、どんなお仕事を?」

淑子ママが水割りを作りながら言う。

「経理を……」と言ったきり、キモは口を閉ざしてしまう。愛想悪い。

「この人、経理部の課長さんなんだよ。
若いのにもう役職についてて、会社でも期待されてるんだ」仕方なく、私がフォローする。

「そうなの……」ママは、お客と会話を楽しんでるように見えた。

楽しんで見えるけど。凄く遠慮がちに聞いている。

いつもなら、もっと積極的に初めてのお客さんに話しかけるのに。

小さな子供に尋ねるみたいな言い方をしている。

いつものママと少し違って少し、慎重だと思った。


さすがに、商売の経験豊富だから。

自分でも言ってたみたいに、がつがつ営業する必要はないのだろう。

ママの様子もおかしかったけど。

キモの態度も、絶対的に変だった。

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