オフィスの野獣と巻き込まれOL
「おお!誰かと思ったら、美帆ちゃんじゃないか!!」
初老のおじちゃんが、よろよろと抱きつかんばかりに両手を広げてやって来た。
昔馴染みの常連さんだった。
店にいた頃中間管理職で、悩んで髪の毛が無くなりそうだと嘆いていたおっちゃんだった。
その人が、ふらっと私のいるテーブルにやって来た。
「なんだあ、どっかで見たことがあると思ったら、やっぱり美帆ちゃんやないの?」
「うん、和夫君久しぶり」私は、ようやくおっちゃんの名前を思い出して呼んだ。
昔もそうしてた。
その時も、このおじさん。家で奥さんに、名前で呼ばれないと、ここで愚痴っていたっけ。
「嬉しいね、まだ名前覚えててくれたんだ」
「もちろん、忘れないよ」私は、視線を上に向ける。
「おかげさまで、まだわずかだけど残ってるよ」
和夫君は、自分の頭をぺちっと叩いて、ガハハと笑った。このやり取りもお約束だ。
和夫くん、気を良くしたのか酒を勧めてくる。
「ああ、彼氏にお酒あげてくださいな」淑子ママに向かって和夫君が叫ぶ。
和夫君、気前よく奢ってくれる気だ。