オフィスの野獣と巻き込まれOL
こいうのも、この店の特徴だった。

気が付いたら、全く知らない人と飲んでたなんてことがよくあった。

帰り際に名刺を交換して、実際にビジネスになったりする。

「昔みたいね」ママが言う。

「そうだね」私は、目の前のおじさんたち一人一人とと乾杯をする。

「美帆ちゃんが居れば、
自然にそうなるよ」

私は、常連さんたちが元気なのを喜んだ。

テーブルの隅にちらっと眼をやると、キモはマイペースでお酒を飲んでいた。

「あれは?あなたの彼?」

一緒に交じってやって来た、ホステスの一人が聞いてきた。

「いいえ、ただの同僚です」私は、苦笑いしながら答える。

「恋人じゃないんだ?いい男ねえ。声かけてもいい?」

彼女が、キモの方をちらっと見ながら言う。

さすが、目の肥えたホステスには、キモの仮の姿は、まやかしに見えるんだ。

外見に騙されずに、しっかり中身を見てる。


ママが割って入って来た。

「帰った方がいいんじゃない?彼、退屈してるわよ」

ママに肘をつつかれ、席に戻った。

私は、ママに言われた通り席を移った。

「そろそろ、帰る?」キモの耳元で言う。


「ああ」

彼がすっと立ち上がって、財布に手を伸ばした。
私は、キモの手を止めて言った。

「ここは、私が払うって」

おっちゃんたちが結構払ってくれるから、たいした支払いにはならないという打算も働いた。

「いいって」

お互いに譲らずにいると、ママが話しかけてきた。
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