オフィスの野獣と巻き込まれOL
「雑居ビルでオフィス何かなくてさ、バーとかクラブしか入ってないの」

「うん」

「それでさ、雑居ビルに入ってるお店に一軒一軒聞いてみたのよ」

「何て聞いたの?」

「綿貫専務の知り合いなんですけど、専務に紹介されてきましたって」

「それで?」

「わかったのよ。専務が通ってた店が。んで、そこの店に入って見たのよ」

「一人でお店に入ったの?」

「まあ、ちょっと顔出す程度だから。問題なかったわ」

「そう……」

「それがね、お店の子に聞いてみたんだけど、領収書にあった通りにお店には行ってないって」

ここまでしゃべってしまって、さすがにまずいと思った。

黙って聞いていた山科君が、ピクンと反応して顔を上げた。

「店にさえ行ってないって、どういうこと?」

「さあ、店の女の子の話だと、綿貫専務やうちの会社の人間は店に来てないって……」

「領収書の名目は、接待費じゃなかったんだけど。

それって、領収書に書いてあった場所まで行ってみたら、オフィスは一軒もなかったってこと?」

「ええ、まあ。そういうことね」
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