オフィスの野獣と巻き込まれOL


「あの、リラックスしてくださいね」私は、自分に対して言う。

本当は、すぐにでも逃げたいんだけど。

おかわりしたワインを持ち上げて微笑む。

キモ川課長は、酒を飲んでも無表情だ。まったく変わらない。

酒飲んでも顔に出ない。

頬が少しでも赤くなってるかと思ったのに、まるで変化なし。

なんですと?

どうしよう。これは計算外だった。

見知らぬ相手でも、お酒が入ればうちとけられるものだ。

キモ川課長は、私より速いペースでワインを飲んでる。

それなのに、酒が回ってる兆しすら見えない。

少しくらい酔ってくれればいいのに。

反応が無いから、壁に向かって話してるみたい。


そんな事より、料理だ。フランス料理のフルコース。

テーブルに沢山乗せられた贅沢な料理。

キモなんかどうでもいい。美味しくいただこう。


さすがレストランの評判はいいだけあって、料理は最高。

前菜から、メイン料理まで十分堪能できた。

これが、少しでもときめく相手だったら……

と無表情のメガネにもう一度、笑いかける。


この分だと、打ち解けるなんてとても無理。


一応義彦君に、義理立てするためにホテルのバーに行こう。

彼に、お酒をすすめて、一杯飲んでもらって済ませてしまおう。

口もきいてくれない相手と時間を過ごしても、意味ないもの。


いくら切羽詰まってると言っても、そこまで私が頑張ることない。

やっぱり、好きでもない相手と、一晩過ごすなんていいことじゃない。

強制はしないって言っていたよね?

だから、気が向かなかったらこのまま帰ってもいいよね。

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