オフィスの野獣と巻き込まれOL


「美帆、仕事を頼みたいんだ」

ワインを飲み終わって、ちょうどお替りを注いでもらっていた。

ワインは、適当にお店に選んでもらったものだ。

堀川課長のように、自分で決めたりしない。

なんか、この二人、やることがみんな逆だと思ったら、笑えて来た。


「何の仕事?」

最初に話していた事なんて、すっかり忘れていた。

そこを狙いすましたように、義彦君につかれた。




「堀川を監視して欲しい」



「はあ?」

寝耳に水とはこのことだ。



「あいつが今、何を調べてて、何をしようとしてるのか。逐一報告して欲しいんだ」

義彦君、急にスパイにでもなったように小声で言う。




私もスパイは好きだし。

一度なってみたいとも思う。

でも、実際にできるとは思えない。

「あのさあ、報告して、情報得ても、それを、どうするつもりなの?」

「それは、どうにかするよ」

やっぱりだ。

私にスパイが似合わないのと同じように、義彦君にスパイの指令役も似合わない。


「ちょっと待って。冗談だよね?」

義彦君、それ、自分で考えたことじゃないでしょう?
< 130 / 349 >

この作品をシェア

pagetop