オフィスの野獣と巻き込まれOL
「美帆、仕事を頼みたいんだ」
ワインを飲み終わって、ちょうどお替りを注いでもらっていた。
ワインは、適当にお店に選んでもらったものだ。
堀川課長のように、自分で決めたりしない。
なんか、この二人、やることがみんな逆だと思ったら、笑えて来た。
「何の仕事?」
最初に話していた事なんて、すっかり忘れていた。
そこを狙いすましたように、義彦君につかれた。
「堀川を監視して欲しい」
「はあ?」
寝耳に水とはこのことだ。
「あいつが今、何を調べてて、何をしようとしてるのか。逐一報告して欲しいんだ」
義彦君、急にスパイにでもなったように小声で言う。
私もスパイは好きだし。
一度なってみたいとも思う。
でも、実際にできるとは思えない。
「あのさあ、報告して、情報得ても、それを、どうするつもりなの?」
「それは、どうにかするよ」
やっぱりだ。
私にスパイが似合わないのと同じように、義彦君にスパイの指令役も似合わない。
「ちょっと待って。冗談だよね?」
義彦君、それ、自分で考えたことじゃないでしょう?