オフィスの野獣と巻き込まれOL

しかしまあ。

経理部の帳票類だから、資料は数字だらけだ。

帳票のタイトルが無いと、何の帳票だかわからない。

山科君は、堀川課長の指示を一回聞いただけちゃんと理解して、役に立っている。

凄いなあ。頭の違いが凄まじい。

やっぱ山科君、仕事出来るんだなあ。

こんなものを一日眺めていて、頭が痛くならないのか。

どうやら、堀川課長は人使いが荒い。

「いや、おかしいのは、経費の誤魔化しなんてレベルじゃない。
過去三期分の決算数値を見てみろ」

せっかく調べ上げたメモを、容赦なく突っ返す課長。

「はい」
山科君は、文句も言わずに引き下がる。

「どうした?見方が分からないのか?」

堀川課長は、相手が理解してないと思うと、丁寧に対応した。

「あの……会社の重要な帳票類には、俺たちのような一般社員は、関わらせてもらえなくて」

「関わらせてもらえなくても、この会社は一部上場企業だ。

経営判断に必要なデーターはすべて公開されているはずだろう?」

「はい」山科君、申し訳なさそうに答える。

「ここでは、伝票に印鑑を押すことしか押してもらってないのか?」

「すみません」

「もういい。損益計算書の見方を一から教えるからよく聞け。

いいか?まずは、こんなふうに数字の流れを細かく追え」

課長が山科君に丁寧に指導してる。

二人で仲良く、頭を付き合わせて山科君の質問に、堀川課長が答えてる。

「本当だ。損益計算書では、利益がちゃんと出てるのに、キャッシュフローは赤字だ。一体どうなってるんだ?」

「会社の金が、どこかで流れ出てる」

「どういう意味ですか?」

「どこかに不自然なところがあるはずだ。それを見つける」

「はい」





< 139 / 349 >

この作品をシェア

pagetop