オフィスの野獣と巻き込まれOL

それに。

ねちっこいおじさんのペースに付き合うのはごめんだ。

「堀川課長は、外出しました」

おっさんは、課長に嫌味の一言でも言いたいのだろう。

だから、見ても分かる通りに不在だと念を押す。

「ああ、そのようだね」

そういえば、名前はすっかり忘れてしまったけど。

このおっさんは経理部の部長だった。

堀川課長が、ここで何やってるのか偵察に来たのがバレバレだった。

えっと……

この人の名前なんだったっけ?

「ずんぐりむっくり」っていつも呼んでるから、名前が思い出せない。

うわあ。本当に思い出せないよ。
まあ、いいや。

ずんぐりむっくりは、なかなか帰ろうとはしなかった。

課長が居ないのはすぐにわかるだろうに。

さっさとドアを閉めて、お弁当食べにここから出たい。

私は、もう一度、散らかってるファイルを整理し、きれいに並べる振りをした。

お腹減った。

もうダメ。しびれを切らして言った。

「課長が戻ったら、部長がいらっしゃったことお伝えしましょうか?」

ただでさえ、出るのが遅れたのに。

亜美待ってるだろうな。

これ以上、ずんぐりむっくりに邪魔されたらたまらない。

だから、多少、追いだすような物の言い方になってしまった。
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