オフィスの野獣と巻き込まれOL
「いや、そこまでしなくていい」

部長は、並べたファイルの背表紙を眺めながら、名残惜しそうに部屋を一周する。

「まだ、何か?」

私は、諦めてお弁当バッグを取り出した。

「君は、堀川課長から何か聞いてないかね?」

「いいえ」

これ以上長居したら、会議室に閉じこめてやる。

殺気だった私の返事に、部長の態度も柔らかくなった。

「いや、何でもない」

「すみません。この部屋カギ閉めますから……」

お腹が減ってるだけではない。

部長は、あわよくば私を追い出して、資料を探りたいのだろうか?

それは、無理というものだ。

こっちの様子を知りたいなら、せめて夜中にこっそり鍵を手に入れて、忍び込む位の意気込みは欲しい。

女子社員を脅かして、情報を奪い取ろうなんて。

考えが浅はかすぎる。


無理やり追い出した。

部長がどういうつもりなのか知らないが、私は堀川課長の部下だ。



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