オフィスの野獣と巻き込まれOL

「あの……」

私は、課長が話を止めたタイミングで口を挟んだ。

「なに?」

急に横から口を挟まれて、山科君が素っ気なく答える。

「さっき、経理の部長さんがここに来ましたよ」

「何の用だって?」

堀川課長が、私を真っすぐ見つめる。

「聞いても、答えてくれませんでした」

久しぶりに、真剣な目で見られて思わず下を向いてしまう。

「何か聞かれたのか?」

興味を持ったみたいに、課長が体をこっちに向ける。

「いえ、質問ありますかって聞いたけど、ありませんって言って、帰っていきました」

「あっそう」

堀川課長は、その話には興味を失ったようだった。

すぐに後ろを向いて、ホワイトボードに向かっってしまった。


でも、彼はすぐに振り返って私を見た。

「だから、鍵を閉めておけって言っただろう?」

「はい。すみません」

「これから、気を付ければいい」

課長が珍しく笑った。

ただ、それだけだったけど。

ほっとした。

ここに居ても、いいんだと思えた。

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