オフィスの野獣と巻き込まれOL
堀川課長は、ホワイトボードに散々図を書いて、山科君と二人で検討していた。
「やっぱりおかしい。俺も、循環取引を疑ったけど。
どう考えてもそれで得られる金銭は2千万がせいぜいだ。
クリアにならないお金の流れがある。もっと大きな。億単位の」
「大きな金額というのは、例えば書類上は海外ファンドに投資してるとか。
その他は、工場を買収して赤字を計上したなんて言うのもあります」
「それなら、探れるか」
「海外ファンドですか?」
「いや。そっちは、伝手を使って聞いてみたが、どこかで尻切れトンボになって途中で途絶えてしまった。
その筋から、聞き出すのは無理だ。他に手立てを考えよう。
だから、まず、出来る事からしよう。買収した工場は、国内だよな?」
「はい」
「まずは、そこから調べよう」
「それなら、ここに資料が……」
山科君が、パソコンを操作して資料を出そうとした。それを課長が止めた。
「いや、それは、もう見た。その資料の数字だけじゃ、何もわからない。
実際に行ってみる。まず、その資料の数字を頭に叩き込んでおけ。
実際に見た感覚と照らし合わせる」
「はい。それで、いつ行きます?」
「今週末にでも」
「行ってらっしゃい」
私は、手を振ってこたえる。
どこに行くのかしら。
堀川課長が、さっとこっちを向いた。
「何がいってらっしゃいだ。
他人行儀なこと言ってる場合じゃないぞ。お前も行くんだ」
「私もですか?」
「誰が雑用するんだ」
雑用ですか……