オフィスの野獣と巻き込まれOL

「理由は、数値だけじゃわからん。
だから、実際に見て来る必要があるんだ。

書類上のデータばかり見ていては、出された数字が評価できるのか、本当のとこは分からないさ。

「はい」

実際のデータと付け合わせる。その前にもう一度、資料をよく読んで頭に入れておけ」

課長は、ワイシャツを肘まで捲り上げて、小さなコンピュータの画面に表れる数字に必死になっている。

課長が、山科君に仕事の仕方を叩きこんでいる。

山科君も厳しい指導に値を上げず、課長について行っている。

実力不足で蚊帳の外にいる私は、何もできない。

二人を見ていると、とても歯がゆい。



「悪いけど、少し寝る」

堀川課長が、ノートパソコンを閉じると、目頭を押さえて腕組みしたまま下を向いた。

「今から寝るの?」

もうすぐ名古屋ですけど。

「しばらく徹夜が続いてると思うから、寝かせてあげて」
山科君が口添えしてきた。
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