オフィスの野獣と巻き込まれOL
「な、なにしてるんですか……」

や、山科君が目を覚ましたら、
どうするのよ!

拒否しようと思っても、彼に頭をがっちり捕まえられている。

「ダメです……止めて下さい」と言っても、

「ダメな訳ないだろう?」
そう言ってくすっと笑うだけ。

逆にきつく抱きしめられ、息を止められそうになる。

どうして、こんなところで……

人が見てますって。

私たちの席の前座っていた年配の女性が、荷物を取ろうとして席を立った。

「まあ」

息をのむように私たちを凝視して、非難するように荷物をつかむと、慌てて立ち去った。

課長はそれでも、止めなかった。

「な、何するんですか……」

口元が微かに緩み、人懐っこい笑顔が広がる。



「油断するからだ。

続きは……
また、後でな。

ほら、これでも食べてろ」

口直しの、ミント味の小さなタブレットをケースごと私に放り投げた。

課長は私の髪を、大きな手でくしゃくしゃっとさせて頭を撫でた。

私の頭を抱いたまま、振り向いて

「山科、着いたぞ起きろ」と、山科君を揺すって起こした。

私は、課長が立ち上がって網棚から三人分の荷物を降ろすのを、後ろから見つめていた。

「少し眠れたから、頭がすっきりした」

山科君に話しかけると、何事もなかったように振るまった。

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