オフィスの野獣と巻き込まれOL

「何、ぼうっとしてるんだ?
ホームは、こっちでいいのか?」

「ちょっと待ってくださいって。
私も、京都に来たの久しぶりですから」

私は、いきなり現実に引き戻された。


ホームに降りたあと、いつのまにか置き去りにされていた。

本当だ、まずい。仕事しなきゃ。

どんどん進んで行ってしまう二人を、追いかけて追いついた。

「成田、どっちだ?」

課長は、私の事なんか無視して、長い足でどんどん進んで行く。

担当者さんからは、在来線に乗り換えて、大津駅で待っていてくださいと言われていた。


「北口はこっちです。課長、待ち合わせ場所は、ちゃんと工程表と一緒に渡してますけど」

「そんなもん、ずっと鞄の中に入ったままだ。
出すのは面倒だから、成田お前、先に行け。頭の中に入ってるだろう」

「お言葉ですが。私だって、ここは初めてです」

バッグに入れていた、資料を課長の目の前に差し出す。


「あっ、あの人じゃない?うちの作業服来てるし」

山科君が気付いて先に行ってしまった。
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