オフィスの野獣と巻き込まれOL
駅に、30代くらいの背の高い男性が立っていて、私たちを待ち構えていた。

「堀川課長ご一行様」手書きで書いた紙を、胸の前で掲げている。

彼は、三人を迎えると、わざわざすみませんと連呼して、深々と頭を下げた。

「まさか、本当に来て下さるとは……
えっと、私は、大津工場の経理を担当してます。橋本と申します」

橋本さんは、もう一度頭を下げた。


「冗談だと思ったか?」
課長が意地悪く尋ねる。

「いいえ、本社の忙しい課長さんが、私の話に耳を傾けてくれるなんて」


「内容が、内容ですからね」山科君が、大きく頷いた。

「お疲れのところすみません。本当に工場に直行してもよろしいでしょうか?」

橋本さんが、せっかく来てくださったんですから、この辺りを案内しましょうかと念を押してきた。

「いや、結構。お昼もすでに済ませた。だから、すぐに向かってくれ」

「分かりました。そのようにいたします」

「もちろんだ」

橋本さんは、「窮屈な車ですが、すみません」と頭を下げて、私たちを社用車のバンに案内した。

腰の低い、いい人のようだった。
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