オフィスの野獣と巻き込まれOL


橋本さんは車を出すと、後部座席に座った課長の方を、何度も振り返って見た。

車は、琵琶湖沿いに走っていく。

しばらく走ってから、道路からそれて工場の広い敷地に入っていった。

「大津には、琵琶湖がありますからね。
豊かな水資源を利用して、この辺りにも工場もたくさんあります」

「そうみたいですね」

見かねて山科君が、助手席から湖の景色を見ながら言う。

課長は、愛想悪く一言も話さず、黙ったままだ。


あの、それ……

だいぶ感じ悪いですよ。課長。

「いいところ色々ありますから、是非……」

橋本さんは、機嫌の悪そうな課長のことを、まだバックミラーで気にして運転していた。
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