オフィスの野獣と巻き込まれOL
美味しそう。乾杯する?
一応、ジェスチャーで示したけど、そこは無視された。
いいもん。お高くとまってるんじゃないわよ。
一人で飲んでやる。グイッと一口。
「うまっ。なにこれ、シャンパンってこんなに美味しかったっけ?」
ただ酒だと思った瞬間、テンションが上がってお酒のペースが速まった。
キモの言う通り、本当にいいお酒がたくさんあった。
「今まで、どんな酒飲んできたんだよ。うまいのは当然だな。どれも、いい値段するからな」
キモは、ゆったりしたソファに腰かけ慣れた手つきで、グラスを口元に持って行く。
飲みなれてるのは、態度で分かる。
私のように、がつがつしてないから。
「うあっ。人のお金で飲むお酒ってマジうまい」酒が入るとつい本音が出る。
「いい性格してるな」キモ、さっきと打って変わって口元を歪めて笑ってる。
「どういたしまして」
キモは頷くと、グラスを持って考えごとしているみたいに、静かになった。
やっぱり、会話がない。
どうかしましたか?
彼、一人静かに夜景を見ながらお酒を楽しんでる。
私は、キモのことをどうしていいのか分からず、お酒を飲む。
キモがお替りするペースで、私もお替りを頼む。
私もそんなに、お酒は弱い方ではないのだが……
この人はレベルが違った。
飲んで騒いだりしないのに。相当のペースでお酒けを飲んでる。
何もすることが無いから、私も負けじと彼のペースにつられてのみ明かした。
そうして私は、本来の目的の事をすっかり忘れてしまっていた。