オフィスの野獣と巻き込まれOL


「その、頭、何?」目の前に、彼の頭が見えた。

口元が緩んだ。ほんと、お酒ってしょうがない。

とうとう私は、これまで口にしないようにしていた禁句を言ってしまった。


キモがじろっと睨んできた。

「頭?髪型のことか?」意外にも。

キモは、即座に怒るんじゃなくて、普通に聞き返してきた。

何だ、結構、普通に柔らかい性格してるじゃん。

髪の毛に触ってみる勇気はないから、彼の腕をパシッと叩く。

酒に寄ったら無礼講。水に流して頂戴ね。

なんて鼻歌うたいながら彼を見る。


「髪型じゃないって。違う。その匂いよ。よくそんな匂いさせて歩くわね」

私は、彼の前で鼻をつまんで見せた。

髪型は百歩譲るとして、その髪に塗ったくってるのだけは、頂けない。

私は、彼の頭にさらに近づこうと背伸びした。

匂いは、元から確かめてみないとと分からない。

「頭になにを付けようが、俺の勝手だ」

おでこに手のひらを当てられて、遠ざけられた。

言葉は乱暴だけど。

彼は、一応、会話を楽しんでいるようだった。

「はい、はい。そうですか。確かに近づいて匂いを嗅ごうとは思わないけど。
近くで嗅いだらどうなるの?ふあっ!!くさっ」

伸びあがって、キモの頭に鼻を近づけたら、刺激を受けて思わずこみ上げてきた。
< 20 / 349 >

この作品をシェア

pagetop