オフィスの野獣と巻き込まれOL

「うっ、マジで臭い」

「人の頭の匂いを無断で嗅ぎやがって。臭いとは何事だ。
お前、失礼だな。なに言ってる」

恐いもの知りたさで匂いを嗅いでみたけど。

そういう匂いって、なんだかそそられるものがある。

でも、ダメだ。やっぱり安物の整髪料の匂いしかしない。

「おえーっ。マジで気持ち悪い」鼻いっぱいに吸い込んで、私は後悔した。

酒を、しこたま飲んでいたのを忘れてた。

「おい、止めろ。こんなところで吐くな」

「そう言われても、その匂いには敵いません。
生理現象だし……仕方ないって」と息巻いてみたけれど。

今は度、グランと世界が歪んで、足元がふらついていた。

足腰が立たないほど酔ってる自分にもわかった。


「しょうがねえな。しっかり捕まってろ」

何て言うから、お姫様抱っこでもしてくれるのかと思ったら。

キモは、いきなり私の体を米俵のように持ち上げて、肩に背負った。

今度は、世界がひっくり返って、赤い絨毯が揺れている。

「ええっ?」なにしてるのよ。

頭が逆さになって、さっきより苦しくなる。

ううっ、マジで吐きそう。

「離して!」

おしりを突き出すように上に向け、私は、キモ川に背負われてブランブランと揺られていた。

「あんまり揺らさないで。気持ち悪くなる」

「吐くなよ。吐いたら、ここに捨ててくからな」

「ひどい」

「ただ酒だからって、こんなに飲むからだ。アホが」
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