オフィスの野獣と巻き込まれOL
私への用事は、
『これ探しておいて』とか
『これ清書しておいて』位だ。
課長の字は癖があって、本当に読みにくい。
読みにくい上に、カタカナで書かれた横文字が多用されてて、漢字に直した方がいいのかいいのか心配になる。
わざと読めないふりして、近付いたこともあったけど。
『読めなかったか?悪かったな』と丁寧に書き直してくれる。
その時、課長が長い指を胸ポケットに突っ込んでペンを取り出す。
それもまた、嬉しいのだ。
私に彼の言う言葉が、もっと理解できればいいのに。
本当に、もっと頭がよければいいのに。
そうしたら、彼の言う事が、全部理解できる。
そうしたら課長は、私にも山科君のように、何時間もかかる長い説明を、あの熱っぽい目でしてくれるんだけどな。
そうしたら、私は彼が話をしている間、ずっとそばにいられるんだけど。