オフィスの野獣と巻き込まれOL
このまま永遠に揺らされていったら、胃の中のものが逆流する。
もうそろそろ、限界だと思ったら、キモが立ち止まった。
揺さぶられるのは、ほんの数分で終わった。
キモは私を抱えたまま、ガチャガチャと何かを操作してドアを開けた。
「どこ行くの?」
「部屋取ったんだ。見ればわかるだろう?」
いつの間に?
「下向いてるから、廊下のカーペットしか見えない」
「うるさい黙ってろ。酔っ払い」
「部屋に泊まるの?」
タクシーで帰れる距離なのに。
苦労性の私には、部屋を取って泊まるって感覚が分からなかった。
なんで泊まるの?
と問いかける私に、キモは「うるさい」っていうだけだった。
「お前、用事がまだ終わってないだろう?何のために、ここに来たんだ?」
「用事?」いったい何?なんのこと?
彼は、やっぱり米俵のように、ドスンと私をベッドに放り投げると、
「シャワー浴びて来るから。出てくるまでそこにいろ」と命令した。
「そこにいろって、何よ」
枕でも投げてやろうと思ったけど。世界はまだ回っていた。
起き上がるのも無理だった。
負け惜しみに、ろれつの回らない口で反論したけど、キモは私のことなんか無視して既にバスルームに消えていた。
キモなんか何さ。男なんて何だっていうのさ。
私には、大きなフカフカなベッドがある。
豊かさの象徴。
クイーンサイズのベッドで眠るって。いいな。
リゾートホテルじゃなくて、都会ホテルに泊まるのは初めてだった。
清潔なシーツにフカフカの布団。
酔っぱらっていなければ最高なのに。