オフィスの野獣と巻き込まれOL
ドアをノックする音が聞こえて、
私はドアのそばに行った。
「ちょっといいかな」
ドアの外から声がする。
「はい、今、開けます」
ドアを開けるとき、経理部の部長が来たのかと思って身構えたけど。
やって来たのは、義彦君だった。
「やあ、美帆ちゃん久しぶりだね」
「ええ」
少々やつれ気味だけど。
いつもの彼のように、上質の生地のスーツを着こなし、いい匂いをまとっている。
「ちょっと、上に来てくれないか?」
課長じゃなくて、私にですか?
と、自分に人差し指を当てて言う。
「うん。そうだよ」
山科君が心配そうな顔して、二人の間に入って来てくれた。
「俺も行ってもいいですか?」
義彦君が、手で山科君を押しとどめた。
「いいや。個人的な事なんだ。美帆だけでいいよ」
大丈夫か?
山科君が心配そうに、アイコンタクトタクトで伝えてきた。
私は、大丈夫よと山科君にジェスチャーで答える。
「俺、ここで待ってるから」
課長に伝えるよと彼は、電話のジェスチャーをする。
「うん、ありがとう。大丈夫だよ」
私は、彼の申し出を断った。
忙しいのに。
こんな事で課長の時間を使いたくない。