オフィスの野獣と巻き込まれOL
私が考えを決められないでいると、義彦男君が肩を抱いてきた。

「美帆、これは取引だよ。
君の課長は、これを手に入れる。
この中のデータは、彼を助けるだろう」
義彦君が諭すように言ってくる。

「どうして?
どうしてそこまでしてくれるの?」

私は課長の為だと言われても、頭が混乱したままで素直に受け取れない。

「それは、美帆、
君がこの僕を助けてくれるからさ。
君には期待してるよ。

君は決して僕を見捨てない。
長い間の恩があるからね。
君は、そういう人だ。
愛してるよ。
美帆。さあ、もう用事はすんだ。
彼のところに行っていいよ」

義彦君が真剣な顔をしている。

彼のそんな表情を見るのは、久しぶりだった気がする。

どうしよう。

君に託すと言われても。どうしたらいいのか分からない。

私は、オフィスに戻った。

山科君が私を待ち構えていて、どうだったと聞いてきた。

「大丈夫。これを渡されただけ」私は、山科君にメモリーステックを見せた。

山科君なら、中身が何か理解できるかもしれない。

その上で、どうするか考えればいい。

「なに、これ」山科君は、メモリーステックを手にして聞いてきた。

「重要なデータらしいの」

「これが?わかった。ちょっと、見ていい?」

「うん」
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