オフィスの野獣と巻き込まれOL
大変だろうな。
今回の業績悪化のための、
取締役交代のシナリオは、ほぼ堀川課長が書いている。
表面的には副社長が取り仕切ってるけど。
重役たちをまとめているのは、武子夫人だった。
その武子夫人に代わって事実上、総会を仕切ることになったのが堀川課長だ。
武子夫人は、堀川課長の話をどうして信じたのだろう。
確かに、課長は優秀だけど。
一社員のいうことを、すんなり聞き入れるなんて。
余程、課長がすごいってことなのかな。
副社長は、亡くなった前社長と苦労して会社を大きくしてきた功労者だ。
会社の現状を見抜いた堀川課長が、武子夫人に働きかけて人事を一新する。
そうして、会社を風通しのいい組織にする。
私たち社員はそう受け止めていた。
「堀川課長ってだれ?」
噂が広がってから、知らない人からも課長のこと聞かれたけれど。
私は、よく知らないと誤魔化した。
そして、疲れ果てて寝てしまった横顔に言う。
「ずいぶん大変な、ご活躍で」
私は、彼のペったり固められた前髪を突っついた。