オフィスの野獣と巻き込まれOL
「美帆ちゃん、ちょっと待って」

ママが引き留めるのも聞かずに、私は逃げだしてしまった。

祐一さんに助けを求める。

そのために、いろんな理由を考えつくのだけれど。

結局私は、立派になった堀川課長に振られるのが怖いのだ。

彼が、人よりちょっと仕事ができるくらいなら、自分にも恋人になるチャンスがあるかもしれない。

けと、今の彼は普通の人と違う。

亡き社長の忘れ形見で、実力も備わった選ばれた人だ。

おまけに。

以前とは、比べものにならないくらい、素敵になっている。

野暮ったい格好をして、
人目を避ける必要がない。

持ってる魅力を十分に発揮して、もっと素敵な女性を相手に選べる。

自信を持って恵まれた容姿をアピールできるのだ。

彼に群がった女性の視線が、以前とまったく違うのがはっきり感じられた。

私が好きだった堀川課長は、もうどこにもいないのだ。

私は、彼を囲んでいる人の群れの中に入ることもできなかった。

私の堀川課長は、遠くに行ってしまったのだ。

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