オフィスの野獣と巻き込まれOL
義彦君は、タクシーを呼ぶと私を中に押し込めた。

「もう、専務っていう肩書は無くなったんだから、贅沢できないね」私は、抵抗するのをやめて、素直に言うことを聞いた。

「タクシー代のこと?」
義彦君がきょとんとしてる。

私は頷いた。

彼は笑って答える。

「大丈夫さ。
持っていた株を全部、新社長に売っぱらったからね。
おかげで一応前よりお金持ちだよ」

「お金持ちって……」

「君一人くらい、
一生苦労させないぐらいの額さ。

早速、向こうに不動産を買おう。
湖の近くがいいかな?
君の好きな場所を選ぶといいよ」

「湖?」

「あれ?言わなかったっけ。
大津の工場の立て直しを命じられたんだ。

限りなく片道切符になりそうだけどね。
会社は辞めなくて済んだ。
君が助けてくれたんだ。僕のためにね。
温情ってやつだね」

「大津に行くつもりなの?」

「この際、東京を離れられれば、どこでもいいんだ。
もちろん、君と一緒じゃなきゃ意味がない」

「ちょっと待って。そんな急に」

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