オフィスの野獣と巻き込まれOL
「嫌だって言っても、もう遅いよ。
君は僕と一緒についてくるしかないんだ」

ほら、着いたよと言って車を降りた。

車は、私の家の前で止まった。

義彦君が、中に入ってと促す。

部屋の鍵を開けて、中に入って軽く悲鳴をあげた。

家の中は、もぬけの殻だった。

家具も、ベッドも、
何もかもがなくなっていた。


「ない?泥棒なの?
いったいどういうこと?」

「泥棒じゃないよ。
悪いけど時間がなくてね。
君に相談してる余裕が無かったんだ。
だから、荷物は勝手に運びださせてもらったよ」

「どうしてそんなひどいことするの?」手で顔を覆った。

「そうでもしないと、一緒に来るって言わないだろう?」

「横暴よ。返して私の荷物。全部返して」義彦君の胸を思い切り叩く。

「美帆、全然痛くないよ。
君をここに一人で残しておけないんだ。
僕は、すぐに向こうに行かなければならないからね」

「そんな強引な人に、ついていけない」

「ダメだよ。君は僕と一緒に来るって約束しただろう?」

「いや……」

「さあ、おいで。タクシーを待たせてある。今日は僕の家に行こう。君は、もう、どこにも行けないよ」
< 307 / 349 >

この作品をシェア

pagetop