オフィスの野獣と巻き込まれOL
「僕ねえ、ビジネスの才能はなかったかもしれない。

そういう才能は、祐一の方が優れてるんだ。

だから、会社はやつにくれてやる。でも、君は渡さないよ」

「お願い。何でも勝手に決めないで」

「落ち着いたら、東京にも遊びにこよう。東京のうちもこのままにしておく。

そうすれば、君は自由に友達に会いに来れるだろう?」

「ちょっと待って。そんなの納得出来ない」

「どうして?
君、会社にもいられないんだろう?
仕事も家財道具もなくなって、どうするの?

あっ、そうだ。退職願いも出しとくね。

ほんとに何もなくっちゃ、君は何もできないだろう?」

私は、首を振る。

「亜美や山科君がいる。二人に協力してもらう」

「単なる友達にお金を借りるの?」
くすくす笑う。

「恥ずかしいよね、それ」

義彦君が住んでいるマンションが見えて来た。

このまま流されてもいい。流されたまま楽をしていたい。

そう思えて来た。

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