オフィスの野獣と巻き込まれOL
「えっと……」何と言って、切り出そう。

淑子ママが突然こっちを向いた。

「ああ、そうだ。美帆ちゃん、祐一とはどこで知り合ったの?」

淑子ママがいきなり私に尋ねた。

「知りあった?
それは、義彦君からディナー券をもらって、祐一さんに頼みごとを聞いて欲しいと言われて……」

「美帆ちゃんから、誘ったのね?」

二人の目がキラキラしだした。何事なの?


「やったー」二人は、キョトンとしている私をしり目に、お互いに歩み寄りハイタッチなどをしてはしゃいでいる。

「いったい何事です?」

「本当ねえ。武ちゃんの言う通り。義彦君たら、武ちゃんの言った通りに美帆ちゃんにチケット渡しちゃったのね?」

淑子ママが尊敬のまなざしで武子夫人をみている。

「でしょう?義彦って素直なのよ。昔っから言われた通りにするのよ」

武子夫人は、顔色変えずに静かに言う。

ちょっと待って。

ディナー券って、どこから義彦君の手に渡ったのか考えたことなかった。

渡したのは……まさか。

「義彦君にディナー券を渡したのは、武子夫人なんですか?」

「渡したのは、私よ。でも、純粋な厚意からですよ。
どこにも、邪な気持ちなんてありませんから。
それに、なにか渡すのを考えたのは、よっちゃんよねえ?」

「あら?考えただなんて大袈裟な。
二人が出会いさえすれば、祐一は美帆ちゃんのこといっぺんに気にいると思ってたのよ」

淑子ママは人生経験の豊富な人だけれど。

どうしてそんなことまで分かるのだろう。

「どうしてですか?」やっぱり聞きたい。

祐一さんが私を好きになるって言いきる理由が。

ママは。嬉しそうに言う。

「だって、さりげなくあの子に当てた手紙に、あなたの事書いたり、一緒に写した写真を送ったりしてたもの」

「それって、いつから?」武子夫人がママの方を見て言う。

「さあ、美帆ちゃんが来てすぐだったから、10年は経ってるわね」
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