オフィスの野獣と巻き込まれOL
それを聞いて驚いた。そんなことまったく知らされてなかったからだ。

開いた口がふさがらなかった。

「ちょっと待ってください。淑子ママは、私のこと手紙に書いて自分の息子に送ったりしたんですか?」

「もちろん。いい子がいるのよって女の子のこと勧めたりしたら、勘のいい子だからすぐに反発したでしょうね。その辺は工夫したわよ。
でもよかった。その甲斐あって、あのこ美帆ちゃんのこといっぺんに好きになったのね」満足そうに頷く。

「どうしてわかるんですか?」

「二人でお店に来たでしょう?
あのときのあの子の顔、見た?してやられたって言う顔で、憎らしそうに私を見てたのよ。

でも、時々祐一があなたを目で追う様子は、見ていて胸が熱くなったわ。

だって、美帆ちゃんは私の娘のようなもの。そのあなたが、祐一と一緒になってくれるなんて」

思わずママの涙もんの告白に騙されそうになったけど。

私と祐一さん。この二人に上手に操られていたような気がする。

なんて人だろう。

お店にいるとき、ママは、息子と偶然再会して戸惑ってるんだとばかり思っていたのに。



もう一つ、はっきりしないことがある。

私は、武子夫人の方を向いた。

「武子さん、ディナー券は経理部長か、社長が義彦君に渡したんだと思いました」

「あら、そう?」武子夫人は、サラッと私の質問をかわした。

私は、さらに踏み込んだ。

「あなたが義彦君に頼んだんですか?」

「まさか。義彦には、何も頼んでいないわよ。
ただ、こう言ったの。チケットがあるの、どうぞお使いになってと、そのまま渡しただけよ」

「えっと……」

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