オフィスの野獣と巻き込まれOL



どうしてこんなことになったんだろう。

強い力で押さえつけられた。

手首をつかまれた時の、彼の手の感覚が残っている。


よろよろと立ち上がった。

バスルームに行って、浴槽の蛇口を目いっぱいひねった。

蛇口から、勢いよくお湯が出てくる。

私は、バスタブにお湯が増えていく様子をじっと見ていた。



そもそも、堀川祐一とは、同じ会社で働いているというだけで他には接点がない。

彼に会いに来たのは、ある男性に頼まれたから。


『美帆、あの男、何とかできないかな』

その男は、綿貫義彦。うちの会社の専務だ。



学生のころ銀座の店でアルバイトをしていた時から、ずっと目をかけてくれていた恩人だ。

一時期は、恋人のように親しかった。綿貫専務とは、個人的な関係があった。

関係は、終わってしまってたけど。

一応、友人としての付き合いは続いていた。

そう思ってたのは、私だけだったみたいだけど。


綿貫専務から、堀川祐一を誘い出して欲しいと頼まれた。

彼は、私の手を握って、その場に膝まづく勢いで頼み込んできた。
< 39 / 349 >

この作品をシェア

pagetop