オフィスの野獣と巻き込まれOL


「よせって、こんなとこで泣くな、バカ」山科君が少し慌ててる。

「だって私、本当にバカなんだもん。山科君、どうしたらバカが治るかな?」

「それは、無理だろう」同情のかけらもない奴だ。

「そんなこと言わないでよ。
私、どうしたら山科みたいに、抜け目ない失敗しない人間になれる?」

「話、聞いてやるから。出来ないことで悔やむな」

「うん」

ほんと、優しいやつだよね。




夕方になり空も暗くなってくると、私も、いくらか落ち着きを取り戻していた。

人前でいきなり涙ぐむような事態にならないように、気持ちを抑えられるようになっていた。

――落ち着いたから、大丈夫だよ。


山科君には、一応、心配かけましたという意味のメッセージを送った。

少し冷静になれば、こんなこと、誰かに相談しなくても一人で対処できる。

時間が経つと、元気も出て来る。きっと。

少しは、立ち直る気力だって湧いてきてるし……

心配した山科君が、飲みに誘ってくれる流れになってるけど。

起きてしまったものは、今さら相談しても、どうにかなるものではない。

そんなふうに、気持ちも傾いてきた。


この間受けたダメージをずっと引きずっていて、何となく体がだるい。

今日だって、お酒を飲む気力はない。

かといって、酒の力を借りなければ、誰かに話せる話題じゃない。

どうしたものか。

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