オフィスの野獣と巻き込まれOL
都合のいいことに、経理部の忙しい時期は先週で終わったそうだ。

今は、比較的手が空いている。

経理の社員は、この時期みんな早く帰ると山科君から聞いていた。

早いと言っても、全員の姿がオフィスから消える8時まで、じっと待たなければならなかったけど。

フロアから、人がいなくなって、電気が消されてから忍び足でオフィスに入った。

管理部のフロアは、一つにまとめられていて、経理部だけ独立しているわけではない。

だから、誰もいない部屋に入るっていうわけじゃないけど。


フロアの隅の一角だけ電気が消されていて、そこをウロチョロするのは度胸がいる。

でも、万が一声をかけられたとしても、経理の人間はいないはずだ。

だから、他の部署の人間が見ても、ファイルを見ているのは、経理部の社員だと思うだろう。

私は、自分にそう言い聞かせてキャビネットを開ける。

スパイしてるみたい。

緊張する。

ガラッと音がした。

いけない。人気がないと音が大きく聞こえる。

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