オフィスの野獣と巻き込まれOL
山科君に渡されたメモを見ながら、慎重に探す。

真上の蛍光灯をつけると目立つと思ったから、明かりは無しで探した。

手元に明かりがないと、薄暗くて目が慣れてくるのに少し時間がかかった。

該当する伝票を見つけると、携帯を取り出して……

ちょっと暗いかな。

「えっと……」機械でコピー取った方が目立たないかなと思い当たる。

フロアの端にコピー機がある。

よし。

そこまでもっていって、コピーしてしまおうか。ファイルを持ち出そうとした時だった。

かすかに足音がする。人の気配に気が付いた時には、もう遅かった。


「そこで何してる」

ようやく聞こえるような、低くて小さな声だった。

声はすぐ近くで聞こえた。

私は、キャビネットの方を向いていたから、男の姿は見えなかったけど。

走って逃げるのは無理そうだった。


「ええっと……」

どうして人がいるの?全員帰ったはずなのに。

「ええっと、じゃないだろう?
君は、経理の人間じゃないよね?ここで何してるの?」

「ちょっと、調べ物を……」

「ますます怪しいじゃないか。部外者がそこで何を調べてる?」

男は、キャビネットとに押し付けるようにして体を近づけてきた。

「それは、ちょっと言えない……」

男は、私の行き場をなくすように、腕で進路をふさいだ。

強い力で肩をつかまれて、正面を向かされて声を上げそうになった。


「堀川課長……」

ここで、キモに会えるとは思ってなかったけど。


「き、君は?」彼の目が大きくなった。

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