オフィスの野獣と巻き込まれOL
ダボっとしたスーツに隠れてる、鍛えられた完璧な体を想像すると、私だって頭を掻きむしりたくなる。


じゃあなくて。

ここは、人気のないオフィス。
今の私の状態は。

正気に言ったら、猛獣の檻に投げ込まれた、エサだ。捕まったら、取って食われてしまう。

食べられる前に逃げなければ。

じゃあ、どうやって逃げるの。

彼が、少しでも私に近づいたら、体当たりしよう。それとも、大声で叫ぼうか。どっちにしようか考えていた。


「なんてことだ。君は、ここの社員だったのか?」

キモは、まだ驚きを隠せない様子で私を見る。

「どうして?私がここの社員だと都合が悪いの?」

私は、素直に疑問を持った。

私の顔を見て、お化けでも見たような驚きようだった。

確かにあの時の行為は、お世辞にも立派だとは言えないけど。

そこまで、驚くことないじゃないの。


まさか。酷いこと散々言ったから、気にしてたのかな。

酷いこと言って、訴えられたらまずいとでも思ってるのかも。

それなら、会いたくないって思うはずだ。

私は、背筋を伸ばした。
もし、彼がそう考えてるなら、たいした男じゃないってだけよ。堂々としていればいいのよ。


「成田美帆と言います。この会社の庶務課で働いています。よろしくお願いします」

この会社でと強調すると、キモはピクンと反応した。

私はふざけ半分で、にかッと笑ってみる。

「庶務……」
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