オフィスの野獣と巻き込まれOL
「それは……」

「いろいろと聞きたいことがあって」

「聞きたいことって?」

「えっと……」

正直にどこまで話したらいいものか。

「はい。時間切れ。今度こそ、ちゃんと帰れ」大きな手で頭をぐっと押さえつけられる。

「ちょっと待って下さい」私は、キモの腕にすがりついた。

「何するんだ」振り払うように、腕を揺さぶる彼。


「離しません」私は、両腕で必死にしがみつく。

「止めろって。こんなところで」夜遅いとは言え、エレベーターの中である。

うっかり人が乗り込んでくるかもしれない。

夜遅くに男女が、もみ合っているのはまずいだろう。

「どうする気だ?」君は、私の執念に負けて振り払うのは止めた。

抜け目のない男の事だから、少しでも気を抜いたらいけない。

人を油断させておいて、ドアが開くなりダッシュで逃げ出すかもしれない。

私は、片方の腕をつかんだままでいた。
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