オフィスの野獣と巻き込まれOL
ドアが開いて、ロビーに出た。

キモが無理やり出て行こうとして、彼に腕を持っていかれた。

バランスを崩した私は、前のめりになって転びそうになった。

身体を支えようとして、強く彼の腕を引っ張った。

「そんなにしがみつかなくても、いいんじゃないか?」

「だって、腕を緩めて一目散に走って逃げられたら、追いつかないもん」

「こんな夜中に、真剣に走ったりしないよ」

「油断させようと思っても無駄よ。離さないから」

「それは、嬉しいけどね」彼は、視線を自分の腕に向けた。

彼を捕まえているために、私は自分の胸に腕を押し付けているのを忘れていた。

どうしよう。

離したら、逃げるわよね?

きっと。

「腕を組めば?」

彼は、腕を少し浮かせて、組みやすいようにしてくれた。

「ありがとう」

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