オフィスの野獣と巻き込まれOL

住所は、確かにここであっている。

でも、領収書に書かれていた住所に、○○産業という会社が入っている様子はない。

ビルのテナントに入っている看板を上から眺めても、バーやクラブの名前が並んでる。

どう考えても、うちと取引先のオフィスがここにあるとは思えない。

「どうするかな。取りあえず、上から一件ずつ聞いてみるか」

「聞いてみるって、何を」ざっと見て、20件の店があると思うけど。

「この店で、領収書切ったのかって」

彼は、伝票の写真を見ながら大真面目に言う。

「まさか。こういう店の子が、正直に答えるわけないじゃん」

「じゃあ、どうするんだ」

「まあ、私に任せてよ」

とりあえず、上から行こうという事になって、私たちはエレベーターで一番上の階まで上がった。

領収書には、店の名前はもちろん、ビルのフロアも書かれていないから、どの店に義彦君が行ったのか分からない。

ビルは、6階建で一つのフロアに3件ほどの店が並んでる。

私は、一番手前の店に入った。

私たちに気が付くと、店のママがニコッと笑った。

すぐに、手の空いた店の女の子が出て来て、いらっしゃいませと挨拶してくれる。

キモは、後ろからついてきて私の背中を突っついてる。

『いったいどうするつもりだ?』と彼は、様子をうかがいながらついてくる。

私は、女の子に微笑みながら言う。

「あの……私、綿貫専務の紹介できたんですけど。
この店にボトル置いてあるから、自由に飲んでいいよって言われて」
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