オフィスの野獣と巻き込まれOL

席についていてくれた女の子もしばらくすると、ママに呼ばれて「失礼します」と席を離れて行ってしまった。

私たちはポツンと隅っこの席に残された。

「専務の知り合いっていうのは、あんまり大切にされないみたいね」

さすがにキモも不満を口にした。

私が働いていたお店では、どんなお客さんにも、こんなに冷たいあしらいはしない。

これでは、いかにもすぐに帰れっていう対応じゃないか。

「専務はそれほど、店に貢献してないんだろう」キモもわかってるみたいだ。

たいして驚いていない様子で答えてる。

「伝票上は、10万円を超えてるのよ。
この程度の店で10万もお金を一度に使ったら、私がここの女の子だったら、私たちに頬ずりするほど喜びを表すわ」

お金をいくら払ってくれようと、相手に精一杯尽くすのがこの仕事だと、私は思うのだが。

「実際にこの金額を店に落としたんじゃないんだろう。
だいたい、この安っぽいボトルで、十万円使うには、相当な量を飲まなきゃいけないな

でも、そんなことするのも無駄だな。この領収書は、接待費ですらない」

「接待費じゃないの?」

昔みたいに、会社の経費で豪遊する人たちが居なくなったわね。

ポケットマネーで慎ましく遊ぶタイプのお客さんが増えたわと、私を雇ってくれていた、淑子ママが嘆いていた。
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