オフィスの野獣と巻き込まれOL
「銀座の高級店だって、今じゃ、客単価1万円程の大衆店になっちまった店も多い」

キモは、何の感情も交えずに言う。その通りなんだけど。でも。

学生時代の夜のほとんど、この街で働いた。

私は、そういう話を聞くと寂しいと思う。

そういうこと、すんなり認める事が出来ない。

私がいた当時、高級と呼ばれる店には、「一見さんお断り」という決まりがあった。

その店に通う常連さんの知り合いが居ない限り、店には入ることは出来ないという決まりだ。


銀座の街は、これが当たり前だった。多くの男性がこの街に来て、お金を落として行った。

お客さんの羽振りも良かった分、ホステスも大変だった。気前良く、お金を払ってくれる客ばっかりではないからだ。

客がお金を払ってくれないと、お客の飲み代のツケを、ホステスが自ら回収しなければならなかった。

回収できなければ、客の飲み代をホステスが建替えることになる。

だから、凄く稼いでいるホステスでも、借金を背負っている子も多いのだ。

華やかだけど、大変な仕事なのだ。
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