可愛い人。


どうしよう、どうしよう、どうしよう!?



ぐるぐると焦燥感と羞恥心が頭の中で回り出す。





すると、クスッと笑う気配がした。




………え?




今、なんか……。




目が覚めたように、パッと顔をあげてみるとそこには微笑ましく笑う山崎くんの姿があった…!!





わ、笑ってるッ??!




どうして?!!





「…この端の絵って、野呂が描いたの?」



と、ページの隅にある熊の絵を指さしながら山崎くんが問いかけてきた。





“端の絵”って………。





!!!




こ、これはっ!!




私がまだ居眠りする前に描いたイラスト!!!




しまった!!




あとで消そうと思ってたのに忘れてたよっ!!




しかも山崎くんに見られるなんて………!




他のクラスメイトの書いた日誌がとても可愛かったから、私もマネをしてみたけど結局上手くいかなくて、
悩んでそのまま寝ちゃったんだよね…。




はっ!!




ということは、私、山崎くんに寝顔見られたッ!!?




次々と見つかるショックな出来事に硬直化した私は、恥ずかしさで沸騰しそうになっていた!





「あ……の……、すぐ消しま…す……!」



恥ずかしさが涙目になってきてしまい、私は山崎くんにそう訴えると急いで消しゴムを筆箱から取り出す!





と、その時だった。





大きな掌(てのひら)が、やんわりと私のそれを遮るように、優しく重ねられた。


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