臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「初めまして。秘書さんですの?」

「ええ。一時的なものですが」

臨時の秘書は“一時的なもの”で間違いじゃないもんね。

その“一時的な”秘書の意味を、どう解釈するかはお任せしよう。


「そうなんですか。隼人さんには懇意にしていただいておりまして」

うーん。“隼人さん”に“懇意に”していただいてるのか。

それもそれで色んな意味にとれるよね。

「そうなんですか? それはありがとうございます。確か、峰富士とは取引があるのは存じていましたが、フェアリー・エアーも我が社と取引開始されると言うことですね」

実際、フェアリー・エアーとは取引ないもんね。

今日のあなたは、取引先のお嬢様でしょう?

ニッコリと返すと、峰社長は固まったような笑顔のままで東野社長を見上げ、小さく首を傾げる。

「そうしていただければ……と、思いますが。失礼いたしますわ」

そっと離れていく峰社長を二人で見送り、姿が人混みに紛れて見えなくなると、社長の雰囲気が柔らかくなった。

「……心臓に悪い」

「すみません」

でも、間に割り込まれたって事は、あれは宣戦布告でしょう。

先手必須ですよ。一応。

それから顔を合わせて、お互いに空々しいくらいに爽やかな笑顔をしあう。

「お前は疲れるな」

「お互い様でしょう」

バリッバリの猫を被っているんだしね。
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