臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「まさか、わざわざ執務室から出てきて仕事していたのって……」

「さすがに、あんな間近でワクワク凝視されてたら気づくだろ。でも、真っ正面からは見てこないから不思議だ」

「ワクワク……」

「ああいう視線は悪くない。どうやって料理してやろうって視線か、おどおどしてる視線のどちらかだし。どうせなら慣れて正々堂々と見て欲しいじゃないか」

ワクワク凝視ってどんな視線だよ!

確かに、他に誰もいないわけだから、ウハウハ見ていたかもしれないんだけど!

気づいていたなら言ってほしかったよ。恥ずかしい!

両手で顔を隠して俯くと、ぶんぶん首を振ってから膝の上に突っ伏す。

「考えてみれば、本当にお前が顔を直視してくることは少ないよな?」

そりゃそうだ。直視したら身悶えするじゃないか。

もうちょっと唇が薄ければ……なんてちょっぴり思うけど、でも間違いなく好みのど真ん中にいるんだもん。

だから、こそっと眺めるくらいが丁度いいんです。

だいたい、こんな顔のイイのが間近にいつもいたら、心が安らがないじゃないか。

癒しが癒しにならないことは、たくさんあるんですよ~!

「見てるだけで十分です」

「なら、正面から見ろよ」

「それはできません」

もごもご呟いたら、背中にズシッと重みが加わった。
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