臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「顔は見えなくても、お前……耳まで真っ赤だぞ?」

わざわざ耳元で囁かなくてもいいんだよ!

「ワ、ワタシヲ、カラカッテ、タノシイデスカ」

片言な言葉が平坦に口から出ていく。

小さく笑い声が聞こえたなぁ……と思ったら、ほつれていた髪を指に巻き付ける彼の指が見えた。

「うん。楽しくなってきた。顔は好みらしいが、恋愛対象外とハッキリ言ってくれたワリに、こんな反応を返してくるのは面白い」

……面白がるなし。

「だいたいの人は、パーソナルスペースにいきなり入ってこられたら、同じ反応すると思いますが」

「そうか? 俺は別に気にならないと思うが」

「それは社長が変だからです」

「お前には言われたくないな」

「でも、隼人兄さん。それ以上はセクハラになるんじゃないのかな?」

急に聞こえてきたからかうような声に、社長はゆっくりと私から離れて振り返る。

そこに、飯村孝介さんがいた。

「兄さん社長なんだから、パワハラなんて前科もつくよ?」

「さすがにそこまでは行ってないだろう?」

「それは相手がどう思うか……があるんだよ。相手が嫌だと思ったら、肩を叩くだけでもセクハラだし」

にこやかな笑みを浮かべる孝介さんに、社長は真面目な顔で私を見下ろした。

「嫌だとは思われてないみたいだが」

だから、顔は好みなんだって言っているでしょう!
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