臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
「……残業でしょうか?」

「いや。それには及ばない。飯村が言うように月曜にならないと……か」

月曜……月曜が何かあるの?

パタンとファイルを閉じて、社長は顔を上げると、少し不機嫌そうに私を見下ろした。

「そして美和……」

「はい?」

「どうして孝介は名前なんだ?」


気になるのはファイルじゃないのか。


「……飯村さんは二人いますし」

「俺も、祖父さんと二人いるだろ」

「社長からすると“飯村さん”は二人いますし、まさか会社で呼ぶわけにいかないじゃないですか。だいたい、私は孝介さんに孝介さんとは呼び掛けていませんから」

「ふぅん?」

目を細めて訝しむような顔が見える。

これは納得していない“ふうん”かな。

また名前を呼べとか、こだわるつもりなのか。


「わかりました。彼のことは飯村さんとお呼びします」

やっぱり納得しないような顔をされたけど、しぶしぶ引き下がってくれた。

「では、下町居酒屋にお連れしますから……」

“お?”と言うように、顔をあげた社長に苦笑を返す。

「社長、従弟さんにフラれてましたもん。連れていきますよ~? どこにしようかな。もちろん飲みますよね?」

「孝介の“忙しい”は特殊だ。お前もあまり近づくんじゃないぞ」

「……わかりました」
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