臨時社長秘書は今日も巻き込まれてます!
座り直して溜め息をついたら、小杉さんが運転席に滑り込んで来る。

「西澤さんの家からでいいですか?」

「あ……はい。いつもありがとうございます」

小杉さんにいつものお礼を言ったところで車が走り始めた。

無言でいる車内はとても静かだ。

エンジン音だけが充満していく。

「……喧嘩でもされましたか? 朝からおかしいですよ?」

重苦しい雰囲気に堪えかねて、小杉さんが口を開いて、ルームミラー越しに社長を見た。

まぁ、小杉さんからしたら、社長は朝っぱらから、そっぽを向いてた認識だよね。

「私はまだ業務中の認識ですが」

ただ、無表情ながら不機嫌そうに腕を組んでいる、社長のオーラが恐いだけです。

「もう会食は終わった。普通にしろ」

「普通にしたら、文句しか出ませんが」

「何の文句だよ」

「これって、誘拐ですからね?」

あっさり呟いたら、小杉さんが吹き出し、社長は目を見開いた。

「お前の家に送るために、車に乗せたのが誘拐か?」

「私はお断りしましたからね。それを車に引っ張り込むなんて……立派な誘拐じゃありませんか」

「まぁまぁ、西澤さん……」

小杉さんが間に入ってこようとしたから、キッと彼の後ろ頭を睨む。

「駄目です小杉さん。甘やかしちゃ!」

叫んだら、男性たちは身を引いた。
< 171 / 255 >

この作品をシェア

pagetop